世界にはさまざまな巨大建造物があります。その歴史を知る本がありましたのでご紹介します。
『イラスト図解 世界の巨大建造物』(デビッド・マコーレイ 著)
橋

現在もさまざまな構造の橋を見かけます。古くは、古代ローマ、紀元前62年に開通した橋が、ファブリチオ橋です。
テレヴェレ川には中洲があり、その長さは60メートルでした。この川は船の航行をしなければなりません。そのため、川に一本の橋脚では人が通る通路の下側にアーチ型の石造りの橋脚の形にしました。
アーチの両側は石が多く積まれ、下に向かって力が加わり、うまく、圧縮力が加わります。そして、このアーチの中央の石が薄く積まれているところの一番真ん中の石が、要石(かなめいし)といわれています。この橋は、当時のまま今も残っています。それだけ、古代ローマの技術のすごさがわかります。
そのほかの橋もいくつか紹介されています。みなさんもよく知っているサンフランシスコの
の構造や、工事の手順などが詳しく書かれています。
トンネル

次にトンネルです。古代ローマは全くの手作業で掘り進んでいましたが、1825年に着工して18年かかって開通させたのが、ロンドンのテムズ川の下を通るトンネルです。
テムズ川は橋を架けるとなると船が通るために開閉式の橋になってしまいます。それよりもトンネルの方がいいと考えられました。
この時にブルネルという人が考えたのが、シールドという大きな機械を使って掘り進める方法で、フナクイムシという貝の仲間が、船の木材を食べて穴をあけていくところからヒントを得た工法です。
イギリスとフランスを結ぶ英仏海峡のトンネルは、トンネルボーリングマシンを使って掘り進められました。イギリス側とフランス側両方から堀り進められ、1988年に着工し、1994年に開通しました。
ダム

次はダムです。ダムは、峡谷や山の中にあり、実際以上に巨大に見えます。さらに周辺の環境も一変させる存在であると著者は言っています。
コロラド川のフーヴァーダムは、農業用水の確保、水害対策、シルトという土を集めること、発電所という4つの目的があり計画され1931年に着工されました。
その後、1960年、当時イギリス領のエジプトでは、水量が多い時期と少ない時期のあるナイル川に、一定量の水量を確保するため、アスワンハイダムが着工されました。
ドーム

次はドームです。ローマの現存するパンテオンは118年から128年にかけて、皇帝ハドリアヌスによって再建されたものですが、アーチの土木技術と同じでドームの形が作られました。このドームは、コンクリートで作れれています。
コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)にあるアヤソフィアはユスティアヌス帝が建てたキリスト教会でした。
丸いドームを正方形で支えています。カーブの浅い「リブ」(傘の骨のような支持材)で補強されています。
コンスタンティノープルは、1453年にイスラム教の国のオスマン帝国に征服されます。アヤソフィアは、イスラム教のモスクとしてそのまま使われますが、建物の周りに、イスラム教のモスクである約束事として、ミナレットという塔が建てられます。
そのほかのドーム建築として、アメリカ連邦議会議事堂、アストロドームなども紹介されています。
超高層ビル

次に超高層ビルです。これは、やはりアメリカが中心になります。19世紀後半の大火後の好景気のシカゴが始まりです。1891年着工のシカゴのリライアンスビルは、ウイリアム・ヘイルによって高層ビルの計画が立てられました。
ニューヨークも好景気の中、ウールワースビル、クライスラービル、エンパイアステートビル、ワールドトレードセンターと続きます。ワールドトレードセンターは、2001年19月11日に同時多発テロで崩壊してしまいました。
その他にも、クアラルンプールのペトロナスツインタワー、フランクフルトのコメルツ銀行タワーも紹介されています。
書誌情報
この本は、こうした巨大な建造物が、どのように計画され、どういう構造で建造されていったかが、イラストともに詳しく知ることができます。
『イラスト図解 世界の巨大建造物』
デビッド・マコーレイ 著 Babel Corporation 訳出協力 六耀社 2018年
ISBN 978-4-89737-966-1

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