クローディアの秘密

児童文学

姉のクローディアと弟のジェイミーが家出をする。行先はニューヨークのメトロポリタン美術館。

家出は、いつもの自分ではない違う自分になりたいというクローディアの企てだった。家出に、必要なのが、お小遣いや友達とのゲームで、お金をためてラジオを持っているジェイミーだった。

クローディアは、ヴァイオリンケースとカバンに必要なものを詰め込んで、二人はメトロポリタン美術館に向かう。

美術館に潜入した二人は、ミケランジェロ作かもしれないとされた天使の彫像のとりこになってしまう。何とかして、ミケランジェロ作という確証を突き止めようとするが、そう簡単にはいかない。

それを証明することが、クローディアにとって、違う自分になる一つの選択肢だった。クローディアは、それが叶わないかもしれなくなったとき、メトロポリタン美術館での家出生活の終わりを予感するが、それでも、違う自分として家に帰りたかった。

ジェイミーが、帰途の切符を買おうとしたとき、クローディアは、彫像の秘密を解くカギとして、彫像を競売にかけ、メトロポリタン美術館に落札させたフランクワイラー夫人を訪ねることを思いつく。

人は秘密を持っていることで、人の知らない自己実現の欲求が満たされる。また、子どもの心は常に違う自分を求める。その繰り返しによって、小さなことでも、自分にとっては今までとは違う自分になれる。それを人に語らない秘密であったとしても、無意識のうちに成長というものを自覚しているのかもしれない。

ニューヨーク生まれのアメリカの作家、カニグズバーグの初めての出版である。

『クローディアの秘密』(岩波少年文庫50)新版 E.L.カニグズバーグ 作 松永ふみ子 訳 岩波書店 2000年
ISBN 4-00-114050-0

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