おばあちゃんの家で暮らすことになった少年。いなかの古い家は天井が高くてすこし暗い。
少年は天井のはりの上の暗がりを見ていた。するとそこに・・・。
少年はなぜおばあちゃんと暮らすことになったのかは書かれていない。夏の間だけ来ているだけかもしれないが、少年がはじめて来たときはとてもさびしそうであった。そこからいろいろ想像できるかもしれない。
登場するのは、少年とおばあちゃんと猫たち、それに天井の・・・それだけだ。
少年がおばあちゃんに天井に何かいるよと言う。おばあちゃんは見なければ怖くないと言う。暗い天井は、少年の心の中の闇なのかもしれない。
少年の後姿はやはりさびしそうである。
作者は怪談小説を手掛ける京極夏彦である。夏のひととき、この怪談えほんシリーズにはまりそうだ。
『いるのいないの』(怪談えほん3)京極夏彦 作 町田尚子 絵 東雅夫 編 岩崎書店 2012年
ISBN 978-4-265-07953-7