エジプトのミイラ

エジプトのミイラ 知識の本

はじめてミイラになったエジプト人は、伝説の王オシリスといわれています。悪神セトに殺されたオシリスはバラバラにされました。その死体を妻のイシスが集めて布にくるんだのがミイラのはじめといわれています。

オシリスは死者の国の王となり、死んだ人を裁きます。古代エジプト人は、死んでも魂は生き続けると考えていました。

魂には二つあります。バーとカーです。死んだ人は、死んだ体と死の国を行ったり来たりします。そのため、古代エジプト人たちは、死んだ人の体を残す必要があると考えていました。

はじめのころのミイラは、エジプトの乾いた砂にうずくまった姿勢で葬ることで、乾燥し、化石になりました。

その後、石や木で固めたお墓に葬るようになりましたが、死体は腐ってしまいます。そこで、腐らない工夫をしたのがミイラなのです。

ミイラにもいろいろありますが、古代エジプトのファラオのミイラは、ミイラづくりが70日もかけて作る特別ぜいたくなものでした。

ミイラは、腐らないように松ヤニや香料を塗ったり、さまざま工夫がされ、お守り札や装飾も施されます。死者が自分の体と分かるように、死者の顔のお面を作り、最後は三つ一組で入れ子になった棺に入れられます。そして、お墓へと向かいます。

ピラミッドや王家の谷が、ファラオたちのお墓になります。そして、死後の新しい命、永遠の命が始まるのです。

この絵本は、ミイラの成り立ちから、作り方、葬儀の様子など詳しく書かれています。著者のアリキ・ブランデンバーグ氏は、フィラデルフィア美術館のアートカレッジを卒業し、知識絵本や物語絵本を多数書いています。

『エジプトのミイラ』アリキ・ブランデンバーグ文と絵,神鳥統夫訳,佐倉朔監修.あすなろ書房.2000年.ISBN978-4-7515-1982-0

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